鬼系上司は甘えたがり。
それに比べて、私は……。
主任に申し訳ないやら、奥平さんにご迷惑をかけていることが心苦しいやら、自分の失態があまりに幼稚すぎて情けなくなってくるやら、ほんと何をしに来たんだという感じだ。
まだ午後4時を少し過ぎたところといえど冬の日暮れは早く、雪がちらつく空は濃紺に包まれていて、車内のルームランプだけでは、隅々まで探すにはなかなかに困難だった。
それでも、一人黙々と探しながら、車の中で見つからなきゃ次は敷地内を探さなきゃ、奥平さんに寒い中を探させるわけにはいかない、と気持ちを奮い立たせ、あらゆる所に目を凝らす。
ああ、今日は仕事始めなのに……。
主任も私も、お世辞にも“いいスタートを切れた”とは言い難い、あんまりな滑り出しだ。
「渡瀬さん、どうですか?」
しばらくすると、コンコンと車の窓を叩く音がし、次いで奥平さんが声をかけて下さった。
彼に向けてゆるゆると力なく首を振り、まだ見つかっていないことを伝えると、頭や肩に雪を乗せている奥平さんは表情を暗くする。
そんな彼に笑って車の外に出ると、私は、今まで探して下さったお礼をするため頭を下げた。