鬼系上司は甘えたがり。
仕事用の笑顔は何度も見たけれど、こんなに可笑しそうに声に出して笑う奥平さんの笑い顔や笑い声は、意外にも、とても可愛らしい。
笑い続ける彼にしばし唖然としていた私だったけれど、奥平さんが本当に可笑しそうに笑うものだから、だんだん私も可笑しくなってくる。
「今まで私、武勇伝だと思ってましたけど、ただ単にアホなだけでしたね。やだもー!」
「武勇伝って!! 最高ですよ渡瀬さん!!」
「あは!」
その場は一気に明るい雰囲気になり、笑っていると体がぽかぽかしてきて、ペンダントトップは絶対に車の中にある、なんていう全く根拠のない自信も湧いてくるから不思議だ。
それから少しして、一通り笑って落ち着いた奥平さんは、こほんと小さく咳払いをする。
「今日はお力になれませんでしたけど、俺のほうでも、もう少し探してみます。見つかっても見つからなくても、すぐに連絡が取れるようにしておいたほうが行き違いにならずに済むでしょうし、番号の交換しませんか?」
「いいですよ。個人的なことですし、私用の番号とアドレスのほうがいいでしょうか?」
「そうして頂けると」
「はい」