鬼系上司は甘えたがり。
 
そういえば、クリスマスプレゼントにネックレスを貰ったことはまだ話していなかったっけ。

しばし思案し、人がたくさんいる中でプライベートど真ん中の話は避けたほうがいいだろうと判断した私は、首を傾げる彼女を「ちょっと休憩しない?」と休憩室に誘い、そこで今に至るまでの経緯を話してみることにした。


休憩室は編集部のある階の一つ上の階にあり、肩身の狭い思いをしながらも、どうしても吸いたい人のために喫煙スペースも備えている。

本当は喫煙スペースのない休憩室のほうが空気もいいし自販機の数も多いけれど、編集部から一番近い休憩室はそこだし、何よりなるべく早く打ち明けてしまいたかった私は、由里子が特に何も言わなかったので、チャキチャキと先導して最寄りの休憩室まで歩いた。


この案件は、一人で抱えるには些かヘビーだ。

だって主任から貰ったものをうっかり失くしてしまったのだ、正直に話して許しを請うのが賢明な判断なんだろうけど、恐いものは恐い。


「あのね由里子、クリスマスに主任からネックレスをプレゼントしてもらったんだけど、そのトップ部分をどうやら落としてしまったみたいでね。服の中とか、心当たりのあるところを探したんだけど、全然見つからなかったの……」
 
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