鬼系上司は甘えたがり。
「へぇ、すごいイイ人じゃない、その人」
「うん、すごく感じのいい人なの。それで、行き違いにならないようにって番号の交換をしたんだけど、これは主任に言ったらアウト?」
由里子に訊ねながら、なんてバカな質問をしているんだろうと自分でも思った。
ただ、誤解がないように説明させてもらうと、いかんせん私は恋愛経験値がほぼゼロだ。
25歳にしてようやく女の花が咲いたと言っても過言ではないくらい色々なことが経験不足で、こういうときにどこまで打ち明けたらいいのかという線引きも、自分じゃ上手く引けないのだ。
だから念のため、私よりずっと経験値のある由里子嬢にお伺いを立てているのだけど、その由里子は、何を言っているのこの子……と一瞬、残念なものを見るような目で私を見たものの、すぐに表情を元に戻して質問を投げ掛けてきた。
どうやら私の経験値の低さを思い出したらしい。
「それはお互いプライベートな番号なの?」
「うん、個人的なことだし」
「薪ちゃんに彼氏がいるのは知ってる?」
「成り行きで話した、かな」
「彼氏が主任だってことは?」
「え、そこまでは……ていうか、どうしたのよ由里子。なんでこんな矢継ぎ早に質問なんか?」