鬼系上司は甘えたがり。
 
しかし由里子は、顎に指をかけ、何やら難しい顔をしてあれこれと考え込んでおり、私の素朴な疑問の声など全く届いていない様子だ。

それに、私の思い過ごしでなければ、質問の内容がなんだか奥平さんを疑っているようにも思えてきて、いくら由里子でもそれはちょっと失礼でしょう、という気持ちも湧いてくる。

奥平さんは自分の仕事を放り出して私なんかのためにペンダントトップを探して下さった、そんな彼に裏があるなんて、どうして思えよう。

が、どうやら由里子は違うらしい。


「主任には事の経緯を洗いざらい話したほうがいいかもね。もちろん、番号の交換までしちゃったこともだよ。変に誤解されたり、こじれちゃったりするの、薪ちゃんだって嫌でしょ?」

「……う、うん」


念を押すように言われれば、頷くしかない。
 
変に誤解されるのも、関係がこじれてしまうのも、そんなのどっちも嫌に決まっている。

恋には駆け引きが必要だとか、スパイスがあったほうが燃えるとか、そういうものがあると確かに一味違った恋を味わえるのかもしれない。

でも、私にそんな技術があるわけない。
 
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