歪んだ愛情【更新中】


「携帯鳴ってるよ」


ズボンのポケットの中で鳴る、バイブレータに気が付いた。


実は先程から
3回くらい鳴っている。



「え?あ、ホントだ!よく気が付いたね。マナーモードにしてんのに」

「あたし耳いいんだよね。すごい遠くでも聞こえるたり、小さな音でも聞こえるんだ」

「すげえ!美海、目もいいって電話で言ってたよね!」

「すごくないよ。嫌なことも聞こえたり、見たくなかった物も見えたりするもん」



信吾にかかって来る電話で、信吾が遠くで話しているのに内容が聞こえて、それが女だと分かってしまった。


信吾が一瞬で隠したメールの内容も、次はいつ会える?という内容で、美海には見えてしまった。



そんな事ばかりだ。



「メールの返事しなくていいの?」

「うん。友達からのくだらないメールだから」



でも、
妙に勘の鋭い美海は
なんとなく千歳の不審さに気が付いた。



何より、
ポケットから取り出した携帯はピンク色に点滅していた。


友達からのメールのイルミネーションをピンクに設定するだろうか。



美海は信吾からメールや電話が来ると水色に光るように設定してある。


信吾は美海からのメールや電話が来ると、





ピンク色に光るように設定してある。




< 30 / 241 >

この作品をシェア

pagetop