オフィス・ラブ #3
何度か柔らかく唇を合わせて、離れていく。

私はまだ、少し呆然としていた。



「約束の一環ですか」

「嫌なら、いい」



澄まして言う新庄さんに、笑う。


新庄さんが、少しリラックスしたように、脚を解いた。

立てたひざの間に私が移動すると、片手で頭をなでてくれる。



「それまでは?」

「こっちに来る時は、ホテルか、お前んちだな」

「なるべくホテルにして、私も泊めてください」



なんで、と訊く新庄さんの首に、腕を回した。



「いつもと違う場所って、楽しいじゃないですか」



今日みたいに。

考えたら、お互いの部屋以外の場所で寝泊まりするのは、これが初めてなのだ。


抱きついて、キスをして、体重をかけると。

逆らわずに身体を倒して、私の背中に腕を回してくれる。


新庄さんの手が、一瞬さまよって、着ていたワンピースのサイドファスナーを見つけた。

その身体にまたがって、唇を合わせたまま、手探りでワイシャツのボタンを外す。


やればできる、という彩の言葉を思い出して、つい笑う。

それに気づいたのか、新庄さんが怪訝そうにキスをやめた。

その顔を、間近で見おろす。



「いつか、ちゃんと言ってくれます?」

「メリットがどうのってやつか」



しらばっくれるのが、憎たらしい。

前を開けたシャツの襟をつかんで、乱暴にキスをすると、新庄さんが吹き出す気配がした。

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