オフィス・ラブ #3
「新庄さん?」
流せよ、と苦笑しているような声が言う。
肩口に顔があるせいで、表情は、見えない。
「お前は、いまいちわかってないみたいだけど」
耳に、唇が押しあてられるのを感じる。
まるで、私が、聞き取れなければいいとでも思っているように。
弱り果てたみたいな声がつぶやいた。
「俺は、相当に」
お前に、参ってるんだよ。
5回に1回くらいかな。
新庄さんが、大事なことを言う時、目を見てくれるの。
もっと少ないかも。
自信満々に人を振り回すかと思えば、肝心なところで、照れ屋で見栄っ張り。
ほんと、大好き。
銀色が輝く指を、噛まれる。
甘く、愛おしげに。
彼は、やっぱりずるくて。
愛してる、とささやいてくれた時も。
私を、折れるほどきつく抱きしめて。
その顔を、見せてくれなかった。