オフィス・ラブ #3
「相手の人、恵利の上司なんだって?」
「じゃ、あんたが取りもったの?」
テラスの階段を下りながら、同期の女子たちに囲まれる。
新婦同期として招待された私は、式の時も披露宴の時も、久しぶりに会えた彼女たちと一緒にいた。
ちなみに新庄さんは「新郎元同僚」という席次の表記で、6部のメンバーと同じテーブルに配置されていた。
えーと、と返答を考える。
間接的には、そうなるんだろうか。
でも全然知らなかったよ、と答えになっているようでいない返事をしておく。
「かっこいいじゃん、旦那さん」
「そうだねえ」
少し先で、ドレス姿の彩と会話を交わす堤さんを見る。
シルバーグレーのタキシードが、綺麗な顔とすらりとした身体にぴったり合っていて、本当に素敵だ。
いまだに、あのふたりが夫婦という気がしないけど。
こうして並んでいると、ちゃんとパートナーに見えるから、不思議なものだ。
行くよー、と彩が叫んだ。
チャペルの横の、一面の芝生の上で、ブーケトスが行われようとしていた。
プルズが主流の昨今、古典的なトスは、爽快で気持ちがいい。
晴れ渡った2月の空の下、元気に彩がブーケを振る。
彩の招待客は、わりと独身が多いらしく、20人近くの女性が中央に集まっていた。
それをぐるりと囲む既婚女性と男性の中に、6部の顔を見つける。
頑張れ、と檄を飛ばす課長に笑いつつ、特にガツガツすることもないかと思い、私は後ろのほうにのんびりと立った。