オフィス・ラブ #3
ブーケは、いうなれば、花嫁からのバトンか。


彩のほうが先に結婚するとは、思わなかったなあ。

別に、私のほうが先とも、思ってなかったけど。


そんなことを考えていたら。

威勢のいいかけ声とともに、彩が後ろ向きに放った白とグリーンのブーケが、青い空に放物線を描いて、なぜか私の胸元に、まっすぐ落ちてきた。


え。


慌てて抱きとめて、彩を見る。


私と同じように、ぽかんとこちらを見ていた彩は、隣に立つ堤さんと目を見あわせると、ふたりして、愉快そうに笑って。

それとわからないくらいさりげなく、私の背後を、目で指し示した。


視線の先には。

両手をポケットに突っこんで、複雑な表情で微笑んでいる、背の高い姿が、周囲から一歩引いたところに立っていて。


それを目にした私は、何を考えたんだか。

他の誰でもない、彩から受けついだブーケを見てほしくて。


気がつくと、一直線に、彼の元へ向かっていた。


新庄さんは、びっくりしたように目を見開いて、けど、楽しそうに笑うと。



「プレッシャーでも、かけにきたか」



そう言って、片腕を差しのべて。

駆け寄る私を、迎えてくれた。


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