恋の魔法
「俺はね、風呂上がりで、ビール飲んでたとこ」

『あ、私もさっき入った』

「へぇ~…。ぬくぬくした部屋の中で、キンキンに冷えたビールを飲む時間は最高だよな~」

『そうなんだ…。私、めったにお酒は飲まないから』

「あ、もちろんそんな何本もグビグビあおったりはしないけどな。ホント、喉を湿らす程度で」


アルコールに依存傾向があると勘違いされたくなかったので、慌てて弁解した。


「そんで体がポッカポカになった所でそのまま寝ちまうと。今の時期、まだまだ冷え込むもんな。いわば湯タンポ代わり的な?」

『私は着るもので調節してる』

「あ、そうなんだ。どういう風に?」

『えっと、パジャマの下に、真冬だったら保温素材のアンダーウェアを着て、今くらいの季節からは長袖の綿Tシャツにシフトして…』

「パジャマはどこのブランド着てんの?」

『あ、自分で作ったやつなんだけど…』

「えっ。マジ!?」


そういうのもメイドイン綿貫なのか。


すげーな。
さすが家政科大卒。


あ、いや、俺も学生時代、被服の時間に作った記憶はあるんだけども。


しかし、悪戦苦闘の末に出来上がったそれは、縫い目がガタガタで実際に身に付けてみたらあっちこっち突っ張って、とてもじゃないけど安眠を貪れそうになかったので、一度もその役目を果たす事なく、いつの間にやら母親の手によって雑巾として生まれ変わっていた。
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