恋の魔法
つまり俺は今、最大の禁忌をおかしてしまったということになる。


……でも、これって不可抗力じゃね?


「綿貫…」


このピンチをどう切り抜けようかと手探り状態で言葉を発した俺だったが、しかし、ケータイからはありえない音が響いてきた。


『ズズ~ズルズルズル~。…ん?なに?まみやくん』


食ってる!


俺を散々悩ませておきながら、呑気にヌードルを食っとる!


『ん、1.5倍くらいにのびちゃってるけど意外と美味しい~』


この上なく満足そうだ…。


脱力するのと同時に、彼女の怒りを回避できたことに、とりあえず安堵のため息を漏らす。


もう、切るか…。


これ以上会話を引き延ばせそうにないし。


「邪魔して悪かったな、綿貫。また、月曜日な…」

『あ、うん。またね~』


最後に、とてもご機嫌な彼女の声を耳にすることができた。


俺ではなく、ラーメンの力でテンションが上がった、綿貫の声をな。


まったく、どんだけ花より団子なんだよ。


ラーメンに負ける俺って、男としてどうなのよ。


恋の駆け引きってのは人によって千差万別だろうけど、俺の場合は、さりげなく意中の相手にアプローチをしかけ、『あれ?もしかしてこの人私のこと…』と思わせてから告白し、付き合う流れに持って行っている。
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