浮気者上司!?に溺愛されてます
きっと、恭介が辟易するほど、本当に紫乃さんはいろんなとこに出没したんだろう。
なんだかわかるようなわからないような。
それでも私はどうしても聞きたい。


「……恭介は、私が恭介が『結婚してる』ことを知らないって思ってたの?」


いくらなんでもそこまで噂に疎くないし、初めて会う男の人の左手薬指を一番にチェックするのは、フリーの女性の鉄則ってものだ。


だから初めて恭介が全体朝礼で挨拶した時から、私だけじゃない、うちの部の他の女性たちもみんな恭介は既婚者って意識を擦り込んで来たんだから。


「だって、もう一年経つし。それに、宇宙開発部で、俺の周り静かだったから今更スタイル変えるのもな~、と」


……緩い。やっぱり恭介はどこまでも緩いっ。


「恭介の周りが静かなんじゃなくて、結婚してるって思ってるから騒げなかっただけなの! 現に、指輪外してからのみんなの噂……って、どうしてこのタイミングで指輪外したの?」


苛立ちを抑えながら食いついておきながら、私はそこに思考が行き当たって首を傾げた。
ああ、と恭介が小さく頷く。


「紫乃にバレたから。もう騙しに使えなくなったし」

「……なんでそんなに軽いの……あれ見て私、恭介が私のせいで離婚しちゃったらどうしようって……」

「俺、そこは奏美を責めたいんだけど」


大きな息を吐く私に、恭介は更に身を屈めてグッと私に顔を近づけてきた。
いつもより少し険しい瞳に見つめられて、ドクンと心臓が騒ぎ出す。
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