~Lion Kiss~
思わずビクリとしそうになる身体を、必死で抑える。

「……お帰り、マヒル」

「…………」

治人さんは立ち上がると、私の真正面に立った。

窓から差し込む夕日が、異様に明るい。

私はゴクリと喉を鳴らした。

治人さんは、笑っていた。

「昨日はごめん。どうかしてたんだ」

……どうかしていた理由を知りたい。

「なにか、あったの?」

途端に、治人さんは唇を引き結び僅かに目を細めた。

微妙に浮かび上がった、怒りのような、苛立ちにもみえる表情。
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