~Lion Kiss~
早鐘のような心臓をどうすることも出来ずに、私は治人さんをただ見上げた。

瞬きすらしない治人さんは、私が見えているのかも定かではなかった。

「治人さん」

少し大きめの声で呼ぶと、ようやく治人さんが瞬きした。

「……マヒル」

「大丈夫?」

「マヒル……何してたの」

「だから、柚希と」

瞬間的に腕を引かれた。

勢いよく治人さんの胸に頬がぶつかり、私はギュッと眼を閉じた。

抱き締められたと思ったその時、

「男の匂いがするか確認しないと」
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