~Lion Kiss~
激しい音に私は思わず肩を縮めた。

「僕達はもう終わりだ!今すぐ出てけっ!」

は、ると、さん……!

あんなに穏やかで温厚な治人さんが、激しい憎悪を剥き出しにして私を睨み付けている。

私は必死ですがった。

「嫌、嫌!治人さん、信じて!來也とはそんなんじゃないの」

治人さんの瞳に、嫌悪という感情が色濃く浮かび、口角が上がった。

「じゃあ……証拠を見せて」

途端に、先日の出来事が蘇った。

無理矢理に抱かれたあの辛い記憶が。

一歩、また一歩と治人さんが私に近づく。

これ以上打てないというくらい激しく打つ脈に、私は息ができなくなりそうな感覚を覚えた。
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