~Lion Kiss~
「な、によ」

來也は私を抱き締めたまま、艶のある声で囁くように言った。

「震えてる女を抱き締めないなんて、男じゃねーだろ」

「震えてなんか、ないし」

「うるせー。黙って抱き締めてられとけ」

……誰のせいだと思ってるんだ、コイツは。

私は來也の背に腕を回した。

もう、心が疲れててどうしようもなかった。

誰か……逞しい誰かに寄り掛かりたかった。

いいや、もう。

「あったかくて気持ちいいから……しばらくこうしてて」

「……いいよ」

來也の優しい声が嬉しかった。
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