~Lion Kiss~
「焦点合ってねーぞ」

私は來也に抱きついた。

「來也」

「ん?」

「治人さんが、緑川冴子さんと婚約したんだって」

來也は一瞬息を飲んだけど、すぐに頷いた。

「……らしいな」

それだけ言うと、來也は私に回した手で、ポンポンと背中を叩いた。

「ほら、大丈夫か?俺がシャワーから出てくるまでソファにいろ。飯は?」

……なんだ、この温度差は。

「……食べてない。そーじゃなくて私、悲しんでるんだけど。元気付けてよ」

來也は上着を脱ぎながら私をチラリと見た。
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