~Lion Kiss~
「……ふうん。で、あなたは?」

彼女を見た瞬間から、自己紹介の文章は頭に浮かんでいた。

だって、彼女はきっと來也の恋人なのだ。

たとえ『特定の彼女』じゃなくても。

私は再びペコリと頭を下げながら、口を開いた。

「お邪魔してしまって申し訳ございません。
わたし、相澤さんに困っているのを助けていただいて……だから、せめてお返しにと思いまして、家政婦としてお手伝いしています」

私がそう言うと、彼女は眉を上げて私を見つめたけど、やがてクスッと笑った。

「そう……」

「あとは、温め直すだけです。ご飯ももうすぐ炊けますので。じゃあ、私はこれで失礼します」

私は言い終えると、不自然にならないようにゆっくりとソファの上に起きっぱなしだったバッグを掴んだ。
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