~Lion Kiss~
力強い声に呼ばれ、私は弾かれるように振り返った。

……來也だ。

スーツ姿だけど鞄は持っていない。

ということは、一度家に帰ったんだ。

今は、会いたくない!

会いたくない!!

きっと言われる。

もう、この生活を終りにしようって。

だって、彼女にバレちゃったし。

私は身を翻して駆け出した。

人混みを縫うようにして走ると、何だか惨めで泣けてきた。

逃げるなんて、子供か私!

ほんと、バカな女だ、私は。
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