~Lion Kiss~
涙を拭おうとした瞬間、

「マヒルッ!」

後ろ手に腕を掴まれ、同時に足が止まった。

來也は素早く私の前に回り込むと、身を屈めて俯く私の顔を覗き込んだ。

切れ長の美しい眼。

……が、ムッとして私を見ている。

「思いっきり走んじゃねーよ。陸上部かお前は」

「…………」

ギャグのつもりか分からんが、笑えない。

だってほんとに陸上部だったし。

しかも、この状況だしな。

來也は泣いている私を一瞥すると、ムスッとして腕を引いた。

「帰るぞ」
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