~Lion Kiss~
自分の魅力を最大限に引き出す仕草も。

俺を気に入ったと思わせる、あの妖艶でありながらどこかあどけない甘い表情。

とびきりの美人といったわけじゃないが、それはあくまで俺が遊んできた、モデル達に比べればの話だ。
小柄だが綺麗なのは確かだ。
無駄な脂肪のない身体に、絞り上げたような腰、素材をいかしたメイク。

卒のない立ち居振舞い。

……完全に一杯食わされた。

悔しいのに無性に嬉しいというか、胸が踊るような気持ちが心の中に芽吹き、瞬く間に枝葉を広げた。

マヒル……あの時は真朝と名乗ったが……とにかくまた会いたかった。

彼女なら、俺の見た目じゃなく、相澤ホールディングスというブランドじゃなく、俺の中身をちゃんと見てくれるんじゃないだろうか。
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