~Lion Kiss~
ぞんざいな眼差しを俺に向けた彼女に、俺は目一杯、余裕の笑みを見せた。

「じゃあまたな、マヒルちゃん」

悪いが、これっきりにするつもりなんか更々ない。

確かめたいんだ。

彼女との会話から俺が、外見だけしか取り柄のない男だと思われているのは分かってる。

なら逆に、こいつは俺の見た目だけで判断しないって事だろ?

じゃあ、お前は?

あの日俺をその気にさせて、スルリと抜け出していってしまったお前はどんな女?

腹黒くズル賢いというのとはまた違う。

……多分、俺みたいなヤツを裁く事を自分に課しているんだ。

……無性に知りたい、彼女の事を。

靴を履くマヒルを見つめながら俺は思った。

絶対、俺とこいつは、このままじゃないって。
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