~Lion Kiss~
青々とした街路樹の葉の間の、広い道路を滑るように進み、暫くすると閑静な住宅街が見えてきた。

その中の一際高く真っ白な塀の邸宅の手前で、青年……來也の弟はブレーキを踏んだ。

途端に大きなシャッターが、ゆっくりと上がる。

何此処、人ん家?!

都営の緑地公園じゃなくて?!

私は冷や汗の出る思いで、目の前の立派な庭とモダンな建物を見つめた。

車から降りたはいいが……圧倒されてハタと我に返る。

……場違いすぎる、私。

「来て」

「やだ」

來也の弟はビックリしたように私を見た。

「やだって……じゃあなんで付いてきたんだよ」

私はツンと横を向いた。
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