~Lion Kiss~
「……服、取りに行ってくるね。あと、保険証とか」

私がそう言うと、

「保険証なら財布にある」

言いながら來也は、財布やスマホが置かれている背の高い机をチラッと見た。

「……マヒル。もっとこっち来て」

私が來也のベットに近寄ると、來也は視線をそらして私の手をそっと握った。

「……座って」

椅子に座った私を見て、來也はポツポツと話し出した。

「……俺、兄貴がいたんだ」

そう言うと來也は、悲しそうに、それでいて懐かしむように白い布に視線を落とし、わずかに眼を細めた。

「一歳年上でさ、ガキの頃は何をするにもいつも一緒だった。けど、死んだんだ。8年前に」
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