~Lion Kiss~
「箱の中には、兄貴が買ってくれた時計と店からのメッセージ、警察からの手紙が入ってたよ。
……兄貴は、店にこう言っていたんだ。
『この時計を、一ヶ月後の大切な弟の誕生日に贈りたいんだ。その時僕は彼といる予定だけど、ちょっとしたサプライズを仕掛けて、彼の驚く顔や喜ぶ顔が見たいんだ。
万が一、誕生日に帰国出来ないかも知れないけど、プレゼントは当日にどうしても渡したい。たとえ僕に何があったとしても、この事は内緒だよ。確実に誕生日に届けて』って」

來也が拭ってくれたそばから涙がこぼれる。

きっと、警察は分かっていたんだ。

けれど店側の話を聞いて、來也のお兄さんの思いを優先したから時計の在処を伏せていたんだ。

來也は私を見つめて掠れた声で言った。

「俺が兄貴を殺したんだ」

咄嗟に私は首を横に振った。

「そんなこと、言わないで。お兄さんだって喜ばない」

來也は悲しみに溢れた眼差しを私に向けて、わずかにその眼を細めた。
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