~Lion Kiss~
きっと來也は、自分が何かを得る度に、亡きお兄さんにもそれを捧げずにはいられないのだ。

私は声を殺して泣いた。

來也が可哀想で、どうしようもなかった。

どうしたら彼の気持ちを癒せるのか分からず、手を握りしめて唇を寄せるしかなかった。

「俺はもっと傷つくべきだ。こんな傷じゃ足りない」

私は來也を見つめてかぶりを振った。

「恵美理さんとの事はもう終わったでしょ?彼女も言ってた、來也は悪くないって。きっとどっちも悪くない。だって、人の心は複雑だもの。それにお兄さんだって、來也には幸せでいてもらいたいはずだよ」

私を見つめる切れ長の眼には絶望の暗闇が広がっている。

私は來也の手をしっかりと握って、まっすぐに見つめた。
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