~Lion Kiss~
「あ、うん、クリームシチュー作ったの。あとはローストビーフとサラダ」

やだ、私ってば恥ずかしい。

「じゃあ、急いでシャワー浴びるから」

「分かった。用意するね」

治人さんは私の唇にチュッとキスをすると、ネクタイに指をかけながらバスルームへと消えていった。

二時間後、私は治人さんの寝顔を見ながら少し微笑んだ。

……寝ちゃった……治人さん。

今すぐマヒルを抱きたいけどなんて言ってたけど、私を抱く前に彼はソファで眠ってしまった。

心の中に、一抹の淋しさがスパイスみたいに香る。

優しくて穏やかな治人さんとの同棲生活は、フワフワとした綿に包まれたように幸せだ。

なのに、どうしてこんなに胸がザワザワするんだろう。

ねえ、治人さん。

あなたはあの日、どうして私を選んでくれたの?
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