~Lion Kiss~
私のどこがいいの?

『マヒルの全てを愛してるよ』

ううん、多分彼は私の全てを知らない。

本当の私を知らない。

だって、治人さんは……。

グッと喉の奥が痛んだ。

そっと治人さんに手を伸ばして、私はその髪に触れる。

「治人さん、ベッドで寝ないと風邪引くよ」

治人さんは少し睫毛を震わせて、うっすらと眼を開けた。

「……ん……分かった……おやすみ、マヒル」

「おやすみなさい」

春と言えど肌寒い夜。

窓から見える月はとても静かな輝きを放っていたのに、なんだか私の胸の中は騒がしく、変な感じだった。
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