~Lion Kiss~
私は次第に俯いた。

その時、來也の掠れた声がした。

「……断る」

心臓に巨大な岩の塊を置かれたような気がした。

まさに圧死だ。

顔を上げる事ができない。

断る……。

カシャンと胸で何かが割れた。

……仕方がない。

約束なんてしてなかったし、彼は御曹司だし。

声が震えないように細心の注意を払いながら、私は頷いた。

「……分かった」

ようやく私がそう言うと、前方からカシャカシャという音がした。
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