~Lion Kiss~
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「治人さん、今日仕事、何時に終わる?」

治人さんは和食派。

私は治人さんにお味噌汁を運びながら遠慮がちに訊ねた。

治人さんは私の声に、持っていたお茶碗をテーブルにおいた。

ちなみにそれからお箸もキッチリと箸置きに戻す。

続いてお茶を一口飲むと、ティッシュで口を拭いた。

……遅っ。

いやダメ、そんな事思っちゃダメなのよ、彼は上品でイイところのお坊っちゃまなんだから。

「……今日は多分、遅くなると思うなあ。どうしたの?」

私は少し笑った。

「ううん、何でもないの」

「そう?ああ、夕食は先にすませといて。何時になるか分からないから」

「うん……分かった」

私はガッカリした気持ちを胸の中に押し込めて微笑んだ。
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