~Lion Kiss~
背を向けて、力なくベッドに腰かけた彼の顔は見えなかった。

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乱れた衣服を直し、財布とスマホを手にすると、私はマンションを出た。

ジンジンと身体が痛み、相変わらず目眩がする。

けれど、治人さんとはいられなかった。

なんなの、どうしてこんな事に?

治人さんはいったいどうしちゃったの?

いまだにバクバクしている心臓に手を当てて、私は歩き続けた。

駅へと歩きかけてハタと立ち止まる。

……終電なんかとっくに過ぎている。

まるで頭が働かない。

これからどこへ行けばいいかも分からない。
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