~Lion Kiss~
來也が切れ長の瞳で私を捉える。

暫く私を見つめてから、來也は小さく息をついた。

「……治療してやる」

言うなり來也が屈み、私の唇に手を伸ばした。

温かな指が私の唇に触れる。

私は唇の傷にあてがわれた來也の指が心地よくて、眼を閉じた。

ううん、傷だけじゃない、温かいのは。

やがてゆっくりと指が離れる。

ヒヤリと新しい空気が唇に触れて、私は目を開けた。

「行くぞ」

來也がタクシーを求めて歩き出した。

握った手は力強くて頼もしくて、私はなぜかホッとした。

******

タクシーで10分程度走ると、私達は來也のマンションへと到着した。
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