マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
僕の部屋には勉強用に大きめの机を用意してもらっていたけれど、それでも余裕がないぐらいの料理の品数だった。


白ワインの煮込みやキッシュなんて、朝からどうなんだろうとは思ったけれど、奏ちゃんはお腹が空いてたらしく、次々と料理を口の中に運んでいった。


「…昨日は、御免ね。情けない所見せて。」

「イエ。あの、本来、私の方が謝る立場です
から。悩んでる人に向かって頭から水をかけ
るなんて事してますし。」

奏ちゃんが慌てて言う。

「シモーヌさんから聞いたんだ。カナデも何
だか悩んでるみたいだって。」

「…え…。」


奏ちゃんの目が動揺の色を帯びる。


「自分の事にかまけてばかりで御免ね。そん
なに悩んでるとは思って無かったから。」

「…は?」

「僕もさ、気にしなくて良いって言ったけど
良く考えたら叔父さんである前に上司だもん
ね。上司の命令だもん。何とかしなきゃって
悩んでたんでしょ?僕の売り込み。」




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