マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
今回僕は客演としてこのオーケストラに呼ばれた。
いわば、ゲストだ。


そんな通りすがりのー、と言ったら嫌な言い方になるけれど、(事実、再び呼んで貰えるとは思えない)僕がこのオーケストラにとって、相応しい指揮者になろうとしても、急に変われるものではない。


限られた時間の中で、あれもこれもと何でも細部を拾っていたのでは、結局不充分なものになってしまう。


このオーケストラがすぐに出せることを、指揮者の自分がそれを見極め、引き出さなければならない。


音程。

抑揚。

アンサンブル。

躍動感。


「ピアニシモは、キラキラしたう~ん、そう
だなあ金平糖みたいな感じで。」(仏)


指揮棒を下ろし再び音楽が、歌いだす。
< 107 / 288 >

この作品をシェア

pagetop