マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「公演も未だ終わってないのに、過保護過ぎ
ません?国際電話なんて。」

「保護者はお前だけどな、奏。」

電話の向こうで笑っている。
うっ。
確かにそうだけど!


「今の常任指揮者の方は、契約が後2年も残
ってましたよ。」

そう言って、叔父さんの理想通りには、物事が運びそうにないことを暗に示すと、

「何だ。気に掛けてくれてたのかアレ。」

出た。始まった。(2回目)


「初めて海外での仕事だからさ、気合い入れ
るっつーか、景気付けだよ。
ホラ、時代劇で『おまいさん。行っといで』
って火打ち石カチカチやるだろ。アレを思い
出せ。」

けっこう真面目に考えてただけに、クるものがある。
銭形平次は好きだけど…。



更に脱力感満載の台詞が襲いかかる。


「どうでも良いけど、さっきから何で敬語な
んだよ。よそよそしいな。どっかの会社の上
司と部下じゃあるまいし。」
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