マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
ふるさと、山田耕筰、滝廉太郎、…うーん何か堅いなあ。
鍵盤で指を慣らしながら、考える。


あ、これなら子供の頃遊んで弾いてた。


弾く曲が決まったとばかりに、シモーヌさんの
方をちらりと見て弾き始めた。


魔女の宅急便『海の見える街』


シモーヌさんが、あ、という表情をする。
良かった。知ってるよね。
オタクですもんね。


そのままでは芸がないので、スタッカートではなく、装飾音符のおかずをつけて弾く。
ほんとはもう一台のピアノか、ヴァイオリンなんかで、掛け合いの演奏だともっと面白いんだけれど。




『奏ちゃん、凄い!』

『上手!もっと弾いて!』




あの頃は、ピアノを弾くことが純粋に楽しかった。

じゃあ、今は?


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