マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
…何だ。あれだけメソメソ騒いでたのに。

本番当日。
初めて振るという、アイヴスの曲は何の問題もなく終った。
お客さんの反応も悪くはないと思う。
ブーイングもないし。
むしろ良かったのではないだろうか。

私もこの曲は初めて聴いたし、他の指揮者が振るのを聴いたことも無いので、比較も出来ないが。


梁瀬さんが作り出した世界観というのは、凄く洗練されていて、現代曲ならではのとっつきにくさ、小難しさは有るにせよ、面白い曲だと思えた。
この作曲者の、他の曲も聴いてみたいと思える程に。

……はあ。

ため息もでるわ。

どれだけ追い込まれたとしても、最後にはちゃんとしかるべき所へ落ち着かせることが出来るのだ。この人は。


ああ、でも、プロフェッショナルなら皆そうなんだ。
べつに、梁瀬さんが特別な訳じゃない。
この世界に身を置くことの重さを思い知る。


……ちなみに眼鏡の件は、ツルの耳に当たる部分に輪ゴムを巻き付ける事で、事無きを得た。
梁瀬さんは、痛いとかブーブー言ってたけれど
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