マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「君、大学院の頃ミツノリ・ムラカミ氏に師
事を受けていたね。」(仏)

「はい。」(仏)

「タクシーで聴いた船歌は、君の先生の指揮
だったんだよ。」(仏)

「えっ?!」

……そんな事が?

「曲が終わって、ちょうど乗り合わせていた
通訳の女性に、誰の指揮で何処のオーケスト
ラかちゃんと聴き漏らさないように頼んで、
教えて貰った名前は確かにミツノリ・ムラカ
ミ指揮、オーケストラアンサンブル東京だっ
たよ。」(仏)

「……。」

巡り合わせ、とでもいうのか…。
何だか、凄い。

「ああ、誤解しないでくれ。私はこの巡り合
わせに感激して、君を常任に迎えたわけでは
ないよ。そこまでロマンチストじゃない。」
(仏)


慌てた様にフレール氏が言う。
何だかほっとする自分もいる。


「このオケは、伝統という名の上に胡座をか
いている所があるんだ。」(仏)

「胡座、ですか。」(仏)
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