マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「そう。排他的と言うか…、日本人どころかア
ジア人でこの楽団の指揮を振ったのは、恐ら
く君が初めてだ。」(仏)

「え?常任でなく、ゲストであってでもです
か?」(仏)

…まさかね。

「そのまさかだよ。」(仏)

「…は…?そこまで?!…いえ、あの!」(仏)

あわてふためく。
これは、根が深いかもしれない。
別に人種差別じゃないだろうけれど、アジア人に西洋の音楽は理解できないと、決めつけているのかもしれない。


「私が音楽監督を勤める様になって、何年も
経つし、その間楽団員のメンバーも代わった
から、保守的な考えの人物は割と少なくなっ
てきたと思う。君を常任に迎えたいと思うメ
ンバーが、多かったように。」(仏)

「…ああ。そうですよね。」(仏)

良かった…。(涙)


「問題なのは、古くからオーケストラを支え
てきたパトロン的存在の人物達だ。」(仏)

「あー。…成程。」(仏)


それなら、資金を援助しているぶん、意見も言ってくるだろう。
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