マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「向こうに置いてきた物で、何か送って欲し
いもの出てきたら、メール貰えれば送ります
んで。特にスコアとか。」

「…ん。」

「ちょっと位仲良くなったからって、何でも
カンでもシモーヌさんに頼っちゃ駄目ですか
らね!」

「…分かってるよ。」

「何なんですか、さっきから。あっ、もう行
かなきゃ。それじゃ。」

「ちょ!ちょっと奏ちゃ」


こちらを振り返る事もなく、奏ちゃんはスタスタと搭乗手続きをする為に行ってしまった。

……なんだよ。
もっとなんかあっても良いだろ。
フランスと日本の離れ離れになっちゃうのに。

はああ。


オーケストラの常任指揮者の依頼が舞い込み、大石社長は文字通り、小躍りして喜んでいた。

「凄い。…良かったですね。おめでとうござい
ます。」

そうは言ってくれたが、奏ちゃんの顔はひきつっていた。
な、なに?
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