マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「だから、マエストロに早く、そういう人、
出来たら、私も必要なくなる。」(仏)

「ええっ?!た、確かにそうかもしれないけ
ど、辞めたいの?この仕事!」(仏)

あ、ヤバイ。未だどうなるかはっきりしないのに。
濁しておかないと。

「フランスと日本、行く帰る、疲れるし。大
変だから。」(仏)

曖昧に笑っておいた。

「…ったく、だからさっさと次の行動に移せっ
て言ってたのに…。」(仏)

「え?ゴメン。聞き取れなかった。」(仏)

早口でごにょごにょ喋られると流石に分からない。

「ううん。いいの。気にしないで。」(仏)

「そう?じゃあまた明日ね。」(仏)

ホテルに帰ろうとする私に、シモーヌさんが何だか脈絡のない事を聞いてきた。

「ねえ。カナデの誕生日っていつ?」(仏)



…そうだよ。そうなんだよなー。
ホテルに帰る道すがら、シモーヌさんに言われた事を思い返していた。

マエストロが結婚してくれれば、私の仕事も何とかなるかもしれない。スケジュールの管理なんて私じゃなくても、奥さんでも出来る事だ。

そうすれば、私がこの仕事を辞めても差し支えないだろうし。
灰谷先生には申し訳ないが、私の相談にのってもらって、理解してもらっているから大丈夫だろう。

そうなったら、灰谷先生のマネジメントは中野さんに引き継いでもらおう。うん。


私がそういう青写真を勝手に描いていると、衝撃的な出来事が起きた。



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