マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「奏ちゃん!」

テーブルに突っ伏す様にして寝ていた私を揺り動かし、呼び掛ける声がする。

「…はれ?こころこ?シモーヌさん家じゃらい
の?」(酔っぱらいの仏語)

「迎えに来たよ。帰ろう。」

「王子様は白馬じゃなくて、タクシーでお迎
えよ。」(仏)

シモーヌさんが連絡してくれたようだ。


……何だか、苦い。

私の一方的な感情だけど、シモーヌさんの家で
ご馳走になり、ワインも飲んで気持ち良くなってた所に、顔を合わせたくはなかった。

私がマエストロに抱く思いなんて、想像も出来ないんだろうな。
だからと言って、この感情を知られる訳にはいかない。


「御馳走様!ホントに美味しかった。
じゃまた明日。」(仏)

玄関先、シモーヌさんにお礼を言ってアパルトマンを後にする。

「おやすみなさい。ユーヘイ。頑張って!」
(仏)


公演は終わったのに、何の事?
明日もあるからだろうか。
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