マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「私、マネージャーの仕事を辞めたいんです
留学しようと思ってます。」

「留学……。」

奏ちゃんの真剣な表情を見ているうちに、僕の気持ちも揺らいで来ていた。

どうしよう?……どうする?

個人の夢を阻む権利なんて僕にはないし、度量の小さな男に思われたくない。

気持ちはぐるぐると回り、天秤は針が定まらない。


「……お願いします!」

「ダメ!ゼッタイ!」

所詮、小さな男だった……。

気づけば、飲酒運転防止キャンペーンのポスター標語の様な言葉を叫んでいた。

「どっ。どうしてですか?!」

「好きだから!!」

「いつのチャンドンゴン?!」


頭では分かっていても、口に出して行動に移す事は容易には出来ない。

「…………。」

そう言えば。
という感じで、ふと気付いた。

「………じゃあ、ピアノ、聴かせてよ。」



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