マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「わ!ゴメン!そういうつもりじゃなくて、
フランスの人って自由奔放っていうかさ、結
婚しても、籍入れなかったりするじゃん。」
(仏)

「ふうん。そういう事。」(仏)

まだくすぶった感じのシモーヌだったが、何とかなだめた。
……危なかった。性の道徳的偏見から日仏開戦になるところだった。

「……人を好きになった事ないから、そういう
価値観で今まできたみたいなんだ。」(仏)

「はぁー、もうユーヘイの手には負えないん
じゃないの?」(仏)

「そんな!だからこうして相談にきたんじゃ
ないか!それに、マネージャーの仕事も辞め
て留学したいって……」(仏)

「益々難しいじゃないの。」(仏)

「それだけじゃないんだ。留学したいなら、
どんな程度なのか試しに聴かせてくれって言
ったら、聴いてみて良いと思ったら、音楽監
督に推薦してくれるかって言われて。」
(仏)

「………何でそういう流れになるのよ。」
(仏)

それは僕も知りたい。

「で、ピアノを聴かせて貰った。」
(仏)

「どうだったの?」(仏)

「……………………フツー………………。」(仏)

「ふつう。」(仏)

そう呟くと、シモーヌはテーブルに右肘をつきうなだれた。


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