マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「奏ちゃん仙台来たことあったんだ。」

前を歩く奏ちゃんにそう声を掛けた。


奏ちゃんがマネージャーに就いてから、初めて
公演を迎える。

今回は仙台のオーケストラに招かれていた。


「いいえ、初めてですよ。どうしてそう思い
ました?」


「だってホームから改札口まで全然迷う素振
りも見せなかったじゃない。ここまでスーッ
と来れた。」


「そんなの人の流れに合わせただけですよ。
案内板もありますし。」


「僕何度となく来てるけど、それでも危ない
よ。僕だってこの前、人の流れに合わせたけ
ど気付いたら駅弁の列に並んでたし。」


「あはは…。」


奏ちゃんは笑ってたけど、多分マジかよ、って
思ってただろう。


自分で自分のポンコツさをバラしてしまったことを後悔したが、嫌でもその内バレてしまう事だ。

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