マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
…え…。


「梁瀬さんのケガの具合が気になって、演奏
にも少なからず、影響が出てくるはずです。
集中出来ないというか。」


頭をぶん殴られた気分だった。
僕の存在が、楽団員の動揺を誘発する。
何だか自分を否定された気さえする。

「梁瀬さんっ!」


奏ちゃんが息を切らして走って来た。

「タクシー待たせてます。行きましょう。」


「五十嵐さんに一言いたい…。」

惨めだ。
何やってんだろ。


コンサートマスター(首席第一バイオリン)の五十嵐さんも僕をさがしてたらしく、わりと直ぐ見つける事が出来た。


「五十嵐さん、申し訳ありません!」


指揮者が居なくなるとなると、その役割をコンサートマスターが努めることになる。
いわゆる弾き振りだ。


降ってわいた出来事に五十嵐さんもいい迷惑だろう。
< 34 / 288 >

この作品をシェア

pagetop