マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
嬉しいというか、ドキドキするというか。


今まで可愛いなー。とニコニコ(にやにやともいう)眺めていただけだったのが、一つ上の階に押し上げられてしまった気がする。


これは、まずい。


押し上げられた階に来るには、登りのエスカレーターしかなかった。
下りはない。
という事は、後には戻れない。
進む事しか出来ない。


自覚した途端、一段と心臓がドキドキし出したのが、嫌でも分かる。


奏ちゃんは体ごと向きを変え、タクシーから外の景色を眺めていた。


本気で怒ったのだろう。サラサラの流れる様な髪から覗く耳は、うっすらと赤くなっていて、


「…イリオモテヤマネコ、ローランドゴリラ、
アホウドリ…」


またぶつぶつと何かをつぶやいていた。
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