マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
それからどうやってホテルまでたどり着いたか
記憶が定かでない。僕の事だから、多少なりとも迷っただろうが、それでも良く覚えてない。


リハは明日までた。
それまでにオケのメンバーの評価を取り戻さないと。これ以上の失敗なんてありえない。


気付けばホテルの部屋に戻り、スコアを貪る様に読み、ドアを叩くけたたましい音とチャイムが鳴り響く音で、はっと我に返る自分がいた。


「…。」

それでも現実の世界に戻って来るまで、時間が掛かる。


重いため息を一つついてから机から立ち上がり外の様子を窺う様にゆるゆるとドアを開けてみた。


シャイニング!!


ドアの隙間から、無理やり超絶不機嫌な顔を見せたのは、奏ちゃんだった。


ジャックニコルソン並みの恐ろしさだ…。
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