マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「そうよ。カナデにしたら、これ迄一緒に
仕事してきたんでしょ。それをいきなり辞め
たいとか言われても、自分の存在なんて何だ
ったの?って、頭にもくるわよ。」(仏)

「…。」

「そうだよね。頼りにならないの?って思う
よね。」(仏)

「えっ?そ、そうなの?
そんなもんかなぁ。」(仏)


そう言いながらも、ちょっとドキドキする自分がいる。
二人の言うことを真に受ける訳じゃないけど、
いかん。にやけてしまう。


…まてよ。指揮者の仕事を辞めるとしたら、奏ちゃんとは接点が無くなるじゃないか。
ポロッと流れで辞めたいとかこぼしただけあって、既にグラグラしている。


僕の辞めたいなんてそんなもんなんだろうか。
でも、これからもこれ以上に苦しい思いをしていくのだろうと思うと、やっぱり…。

テーブルの上にカチャ、と皿の置かれる音がして顔を上げた。


「僕達は何も出来ないから。せめて美味しい
物食べてゆっくり寝たらいいよ。」(仏)
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